Index > Adobe InDesign による多言語マニュアルの制作メモ(Multilingal Publishing)
Sat, November 8, 2008

Adobe InDesign による多言語マニュアルの制作メモ(Multilingal Publishing)

ここ1年半くらい断続的に(プログラマの立場で) InDesign + XML + 多言語展開の検討をしてきたのですが、 とうとう研究段階から実際の仕事をすることになりました。

実際にやってみると、経験不足による(混乱・見通しの不透明さ・不安)、 というのはあったものの、InDesing CS2,CS3は、XML経由での多言語展開を するには十分成熟したプラットフォームだと感じました。

多言語展開の手順

基本的な考え方は、 Adobeが提供しているInDesignとXMLを使った ワークフローガイドに従えばよい。 この手の情報は日本語の本としてはほとんど出版されていないが、 オンラインPDFとして、Adobeがオフィシャル提供しているもので間に合う。

ただ、実際のマニュアル制作で行うには、 コスト・効率・納期・ヒューマンエラーの回避・他社との競争など 現実的に発生するいろいろなことに対処せねばならず、 マニュアルに書いてある通りやっても商売にはならない。 (当たり前だが。)

既存のDTP済データをXML化して、多言語に展開する、という現実

標準のInDesignのXML対応は、内容(だけ)をXML化するという考え方だ。 レイアウト情報はすべてInDesign側で管理していて、XMLと直接関係は持たない。
このような方針(わりきった方針)のため、 レイアウトは人間(DTPオペレータ)が管理し、 内容はスクリプトで自動化、という人間とコンピュータの得意部分での作業分担が 可能になる設計になっています。

ちなみに、 サードパーティプラグインなどでは、レイアウト情報も InDesignの外側で管理するという発想の商品も存在するようです。
それから、InDesignCS4 では、IDML というレイアウトも外部で コントロールできそうな新機能が追加されていました。

この辺は、FrameMakerの考え方とは対照的なので、はじめはちょっと違和感があったが 現実に対処するという意味では実際には非常に有効で現実的。

机上の理論で多言語展開を考えれば、

  1. DTP段階からXMLで構造化しておく
  2. InDesignからXML書出し
  3. XMLデータを翻訳依頼
  4. 翻訳済XMLデータをInDesignに取り込み→多言語マニュアル完成

ということになるが、 実際には、そうはいかない。

DTPオペレータはXML対応のInDesign DTPをしてくれない

InDesignのDTPオペレータはInDesignのXML機能や構造化に ついてほとんど知識がない場合が多い。
知識を持っていたり、内容が理解できても、 通常の(いままでやってきた)DTP作業以上のことはやりたくない、 という場合がある。(金額や力関係によって異なるかも。)

そもそも、多言語に展開するマニュアルのベースとなるデータをつくっているのだが、 日本語だけのマニュアルをつくる場合とやり方が異なるのは当然なので、 DTPオペレータの方にも意識改革してもらいたいです。
プログラマから見れば、DreamWeaverでドキュメントをつくっているようなもので、 CSSとHTMLコーディングの知識があれば、InDesignのXML対応DTPというのは 問題ないと思うのだが、

現実的な多言語展開

現実には多言語に展開する直前で、 InDesignデータをXML化しなければならない。

ということで、ワークフローは以下の通り。

  1. 従来の普通の方法でベース言語となるマニュアルを制作
  2. ベース言語版のマニュアルが校了
  3. ベース言語版InDesignデータをXML化
  4. InDesignからXML書出し
  5. XMLデータを翻訳依頼
  6. 翻訳済XMLデータをInDesignに取り込み→多言語マニュアル完成

しかし、従来の普通の方法で作成したDTPデータは、かなり醜い、という大問題がある。 DTPオペレータもお客さんも印刷した結果の見た目だけしか考えていない。 したがって、内容と無関係にテキストフレームが設定されていたり、 プログラマ的視点から見れば "あり得ない" DTP処理がされていたりもする。 スタイルのオーバライドなどは日常茶飯事!
こういったXML化+多言語展開する上で不都合なデータ構造になっているDTPデータを XML化しなければならない羽目に陥り易いという意味で、このワークフローは かなり厳しいものがあります。
追い討ちをかけるように、XML化が簡単に済むと勘違いしている プロジェクトマネージャ・・・もうこうなるとプロジェクト崩壊・デスマーチは 間違いないです。

問題は、普通の方法で作成したInDesignデータをXML化する作業です。 DTPデータさえ整えておけば、 ここで紹介されている方法が使えます。

はじめて、このページを見たときにはここまで自動化できるかなぁ、と 思ったのですが、InDesignに搭載されているスクリプト機能は強力なので、 200行くらいのJavaScriptを書けば、 DTPデータをXML構造化を自動で行うことができます。

テーブル内のテキストやアンカー付オブジェクトを自動的にXML構造にするのは 確かにちょっと面倒ですが、手に負えないほど複雑ではありません。 また、一度やり方を確立すれば、安定して作動してくれます。

InDesignのスクリプトによるXML構造化で困ったこと

細かい部分では自動構造化+XMLデータ書出し問題があります。 しかし、一旦XML化できれば、あとはXMLの世界で処理できますので、 InDesignから書出ししたXMLデータに問題があっても、 翻訳会社に出す前に、豊富なXMLツールを使って加工・変換することができます。

XMLという標準に技術に InDesignが対応していることで、 InDesignでは対応してきれていない部分は、 XMLの世界で解決するという方法が残されています。

 Twitter
follow me on Twitter
 Categories